メルシー

昔預かったイエローラブ

メスで、ボロボロだった

預かり募集にも誰も手を挙げず最後の最後に私が手を挙げて預かった

この子は・・・

何度もご近所からの通報で放浪しているところを捕獲され、とうとう飼い主は飼育権を放棄した

鎖を食いちぎって逃げてしまうらしい

近所の人に、水をかけられ追い払われていたらしい

体はあちこち傷だらけだった

センターに長くいて、子犬が入ってくるたびに乳を出して与えていたという

うちに来た時は、本当に汚い子だった、うちに迎えてシャンプーしている間はおとなしかったけれど人を信じないまなざしの子だった

たった一人で生きてきた

みんなに疎まれて生きてきた

そんな子だった

厄介者扱いのこの子を、受け入れたのは、自分の生い立ちをこの子の上に重ねていたのかもしれない



パサパサだった毛も、年月が経ち 艶が出るようになり、どんなラブラドールより美しい子になった

頭が良く、茶色のまなざしは、静かで愁いていた

早く里親に出せと保護先の団体に言われたけれど、この子の心の傷はそう簡単に癒えるものではなかった

私に対して強い執着芯があり、自分が一番に愛されたい子だった



ある日、預かっているもう一頭のチョコラブを散歩に連れて行ったとき、上のお姉ちゃんがメルシーを連れて後を追ってきた

一緒に行けばメルシーも喜ぶと思ったらしい

焼きもちを焼くからダメだといっておいたのだけれど、そこまで嫉妬するとは思わなかったようだった

メルシーは静かに、そのチョコラブに近づき、背中にがぶりとくらいついた

チョコラブの悲鳴で気がついて、やめなさいという声ですぐに離れたことと、

みてみたところ、特に血が流れていなかったので、くわえただけだと思っていた

数日たって、このチョコラブが、ごはんを食べなくなってしまった

ぐったりして様子がおかしい

毛をかき分けて、隅々までみてみたら、背中に穴があいていた

ピンセットで膿を引っ張ると、長さが5㎝以上はあろうかという恐ろしいものだった


そういえば、噛みついた時、目が座っていたな

あの時静かに歯を食い込ませていたに違いない

このとき、私は、はじめて、犬が静かに食らいついて歯を食い込ませる咬み方をするということを知った


その後も、素知らぬ顔して私に甘えていたのだ

特にこの子だけをかわいがっていたわけではないし、べたべたしていたわけではない

けれども、この子が落ち着いたら里親さんに託そうと思っていた。

時間はかかるかもしれないけれど、この子がもう一度人間を信頼してくれるようになってくれるのを待とうと思った

保護団体は、私が、医療費などを団体の金を使わせて、自分が飼うつもりだと濡れ衣を着せられてしまった

そして、ある日・・・引き取りに来た

メルシーは、ふりむき、ふりむき、連れて行かれた


自分が不器用なために、メルシーとこんな別れ方をしなければなくなってしまったことを悔やんだけれど、

どうしようもなかったし、良かれと思ったことが、かえってメルシーを悲しませることになってしまったことが辛かった

言われた通り早く里親に出していれば、こんなふうに別れずに済んだのかもしれない・・・

笑顔で送り出せたかもしれない・・・

だけど・・・

今メルシーはどうしているだろう、まだ、生きているだろうか







 

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Commented by なつ at 2015-11-15 14:21 x
隊長さま

メルシーちゃんとのお別れ、お辛かったですね…。
センターでパピーにお乳を与えるなんて
自分も愛情が欲しかったでしょうに優しい仔ですね??
どうか幸せでいて欲しいです。

保護活動で一番大変なのは何と言ってもお預かりされる方だと
思います。
毎日お世話して愛情も与えて…一任したのなら意見を尊重して
頂きたいです!
保護だけして丸投げの方もいらっしゃるし憤りを感じますよ!

それにしても隊長さん、今まで何頭のワンコをレスキュー
されてきたのですか???
尊敬の文字しか浮かびません。(。-_-。)
l


Commented by kaychann1960 at 2015-11-15 18:50
> なつさま
自分の経験の浅さから最善のことをしてやれず、後悔が多いです。
けれども、里親様のところで可愛がっていただいる子のことを思うと喜びになります。
うちで十分のことをしてあげれなかったけれども、新しいおうちで大事にしていただいていると、本当に感謝です。

殺処分・・・本当に悲しい言葉です。
何かもっと自分にできることはないか・・・考えているところです。
とても時間がかかるし、ひとりでできないけれど・・・


Commented by みみと文左衛門 at 2015-11-16 08:31 x
保護活動って ?
と思いました。
命、そして心を紡がないと
と思いました。
Commented by kaychann1960 at 2015-11-16 10:24
> みみと文左衛門さま
保護活動もいろいろな人が携わっているので、いろいろな考え方があると思います。
ペットショップで売るから、クレームつけて返品という考え方が当たり前になるのでしょうか?
その子を丸ごと受け入れる(たいへんなことだけれど)、そして、一生懸命頑張った結果どうしようもなくなった時に里親にお願いしたり、センターに相談したり(殺処分ではなく)というふうになるといいですね。
でも、たくさん殺処分されていることを知らない人が意外と多いですよ。
「へえ~」なんて、いわれることがけっこうあります。
by kaychann1960 | 2015-11-14 23:28 | Trackback | Comments(4)

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