私と、犬 ①

私が子供のころ、とても、凶暴な犬がいた。

庭先に鎖でつながれていて、犬小屋をあてがわれてはいたが、とにかく前を通るたびに恐ろしい形相で小屋から飛び出してきて、ぎゃいんぎゃいんと、吠えまくり、その、くさりがちぎれそうなほどの、勢いだった。

子供ながらに、そこまで吠えかかられると憂鬱である。

と同時に、だれにも、一度も撫でてもらったことのないその子が不憫に思った。

ご飯といえば、昔のことなので、人間の残飯を思いきり、ぼこぼこになった鍋に入れてやるのである。

もちろん食べた後下げるでもなく、洗うでもなくそこに置きっぱなし・・・

夏にはハエがたかっていた記憶がある。

まだ、小学校の低学年だったと思う・・・

自分なりに、怖いと思うからとびかかってくるのかもしれない・・・

逆にそばに行って撫でてやれば、気持ちが変わるかもしれない・・・

そう思って、勇気を振り絞って、やおらその狂暴犬に近づいた。

そいつが一瞬、え?と思った瞬間その犬の前足をつかみ、後ろ向きになって、その犬の前足を持ったままそこに立っていたのだ。

次の瞬間、我に返った犬に、ガブリ‼とやられたのは言うまでもない・・・

腕をかまれながら、痛くて泣いた、心の中では、「やっぱりやられた。」

という気持ちと、自分の、仲良くなりたいという気持ちが通じなかった悲しさで胸がいっぱいだった。

血をだらだらと流しながら、玄関でうずくまって泣いていた。

母に叱られるから、言えなかったのだ。

しかし、母には状況はお見通しだった。

寝る時間を過ぎてもそこで泣いていた。何時間もそこにいた・・・

ここにいても仕方ないな・・・そう思って仕方なく、母のところに行って犬にかまれたと言った。

母は一言・・・「なぜすぐに報告に来ない?」

子供が自分から言いに来るまで、母はずっと待っていたのだった。

外科の手術室の看護師だった母は、とても、冷たい人だった。

けがをしても一度も優しくしてもらったことがない。

擦り傷、切り傷なんて、「足や手切断する人よりマシ」と言って一蹴された。


そのあと、数日して、その犬はいなくなってしまった・・・

私を噛んだから、母が始末したのだと思う。

私が余計なことをしなければ、その犬はギャーギャー騒ぎながらでも、そこに居続けただろう。

そのまま餌をやるだけだったかもしれないけれど、少なくとも、処分されずには済んだと思う。

自分の余計な行動が、何も分からない、ただ、前足をつかまれて嫌だったからがぶりとやっただけなのに、この世から消されてしまって

私は、とてもとても悲しかった。そして、その心の痛みは、肉が盛り上がるほど犬に噛まれた痛さよりももっともっと痛かった。

いまだにその傷跡が腕にある。

それを見るたび、自分があの子を殺したのも同じだ・・・と思う。

その気持ちが、預かりをする原動力なのだけれど、何頭預かっても、あの子は帰ってこない・・・



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Commented by ラブキャバママ at 2014-11-04 04:56 x
隊長さん、私にも左脇腹と左太腿に今だに消えない傷が有ります。真夏のとても暑い日でした、その子は小さなベランダにエアコンの外機の熱風を受けながら、水も日陰も無い所にいました。無理やり引っ張られ、階段を転げ落ちそうになりながら降ろされてきました。そして、金魚鉢の水をガブガブ飲んでいました。「ジョンは悪い子だからい~らない」 飼い主の子供達が歌うように囃し立てていました。「子供達も幼稚園に行くようになって友達が出来たので、いらないので連れて行ってくれます」…暑さと、甲高い子供の声、飼い主の言葉…最悪の状況…早く連れて行こう、仲間と中に入ろうとした時、その子と私は目がシッカリと合ってしまいました、敵意に溢れた目、嫌な予感がした、仲間に怪我をさせる訳にはいかないので一人で行き、名前を呼んだ途端に…飼い主は「噛んだから、もういいです」 凄い痛みと出て来る血を、飼い主にきずかれないように明日、連れに来ます…次の日、「知り合いが貰ってくれたので」信じたいです、その言葉を…自分が楽になるから…自分で治療した傷が盛り上がり、洋服で擦れて何年も痛かった、胸も痛かった、大分薄れたけど消えないで欲しい傷…私のミスで消してしまった命、ボーダーコリーのジョン君 、15年前でした。
Commented by kaychann1960 at 2014-11-04 08:22
ラブキャバママさま

コメント拝見して、朝から、泣いた・・・
涙が止まらない。
by kaychann1960 | 2014-11-02 23:19 | Trackback | Comments(2)

わんこ隊長ののんびりすぎ~なブログ


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